第3章 響く音はひろがりとどく
千春ちゃんは井上さんと茶渡さんと話している。
ざりっと、足音がすれば黒崎さんがいた。
治していた手を止めて、私は彼に向き合った。
「石津………」
「なんて顔を、してるんですか」
「俺がもっと早く来れてたら、お前にそんな怪我させなかった………」
黒崎さんは辛そうに顔を歪めていた。
そんな事は無いと、伝えたくて私は話した。
「朽木副隊長の仰った通りの人ですね、貴方は。」
ふっと息を吐いた私に、黒崎さんは不思議そうな顔をしていた。
「すぐにお一人でなんでも背負う。
貴方は優しい方だから、それが誰よりも強いのでしょう。
でも、私だって死神である以上は、戦う覚悟も護る覚悟も出来てます。その時に負った怪我は自分の力が足りなかったから!
だから、貴方が責任を感じる必要はないんです。」
私は、そう黒崎さんに言葉をかけた。
思い悩んだ表情は緩んで、彼は苦笑いながら言葉をかけてくれた。
「アリガトな、石津………」
「石田達が戻ってきたぞ」
茶渡さんに言われてそちらを見ると、石田さんと浦原さんが立っていた。
「ありゃ?大丈夫そうっスね、石津さん。
石田さんの話じゃ、今にも死にそうだから助けてください〜って言ってたんですが」
「そこまでは言ってないですよ、僕は!」
扇子で顔を半分隠しながらの浦原さんの言葉に、すかさず石田さんは反論してした。
どうしたものかと考えていたが、私は彼らに声をかけた。
「あの!実は…やりたいことがあるんです。」