第3章 響く音はひろがりとどく
「お姉ちゃんのバカ‼︎‼︎」
「ええっ!?なんで!!」
まさか叱られるなんて思ってなかった私は、千春ちゃんの行動に面食らっていた。
どうしようとあわあわしていたが、擦りむいた膝や腕の傷や小さな手が震えていることに気付いた。
「こんなたくさん怪我して…痛い思いもして‼︎
お姉ちゃんが、わたしの所為で死んじゃうじゃないかって………‼︎」
ぽろぽろ…と涙をながす千春ちゃんを私は、そっと抱きしめた。
「怖い思いさせて、ごめんね。
でも、千春ちゃんを守りたかったから頑張ったし、約束があったから諦めなかったの。」
とん・とん、優しく背中を押す。
怖くないはずなんてない。
たくさん、不安な思いもさせてしまった。
でもーー。
腕の中の千春ちゃんが、ただ無事であれと、必死だったから。
どんなに自分が傷ついても、それだけは失いたくなかったから。
「千春ちゃんの所為なんかでは、絶対に死なないよ。
本当に、無事でよかった……」
グスッと鼻を啜る音が聴こえて、その後に小さな力でキュっと抱きしめ返してくれた。
「まもってくれて…ありがとう」
その言葉で、私には十分だ。
石田さん達を待つ間、私は回道の力で残った右目の傷と霊力を回復させることにした。
井上さんのおかげで、だいぶ楽にはなっていたが、やはり治すには時間がかかりそうだ。