第3章 響く音はひろがりとどく
襲ってくる痛みや恐怖にに耐えるようにギュッと瞳を閉じていた………………けど、それはやってこなくて。
恐る恐る開けると、目の前にはお姉ちゃんの顔があった。
「間に………あって…よかった。千春ちゃん」
「お姉ちゃ………」
ザシュッ!!
鋭い音と共に、飛んでいく何か。
お姉ちゃんに後ろから掻き抱かれているんだとわかった時、見えたのは、化け物の白い仮面が不自然に欠けている姿だった。
牙も欠けて口も裂けている。
大きな目玉もひび割れて、血が溢れていた。
庇ってーーくれたんだ。
「遅くなって…っご……めん…ね」
「お姉ちゃん………?」
聞こえる荒い息継ぎの音と、支えられていた腕の力もだらりと緩んでいる。
気になって、そこから抜け出してお姉ちゃんを見た。
蛇の牙が深々と肩に刺さっていた。
「お姉ちゃん!怪我して………」
リィン チリィン
鈴の音がして、お姉ちゃんの手を見れば
落とした鈴が握られている。
「これを持って…はっ…走って逃げて…」
「………え……」
「あれを倒して……追い…かけるっから!」
お姉ちゃんの目はとても真剣で、でも…すぐには答えられなかった。
「千春ちゃん‼︎………っク‼︎」
何か言わなければと開いた口は、再びお姉ちゃんに抱き抱えられて、言えなかった。
私たちがいた場所には化け物がいて、逃げる為だったのだとわかる。
向き直った私は、思い切って言った。
「お、お姉ちゃんを置いてなんて行けない!」
「…………そう、っ言うと思ったけど…
ほんと…に言わないでよ…。」
キッと強い目で反論をする私に、困ったなぁと呟くお姉ちゃんは、顔色がすごく悪かった。触れている手も冷たい気がする。
「仕方ないね…」
リィンとなった鈴と銀糸の紐を真上に放った。
「風鈴司壁 杜の銀紐」
お姉ちゃんの言葉と共に、私を包む銀糸の円と浮かぶ複数の鈴。
「ごめんね…千春ちゃん。そこに…いてね」
此方を向いたお姉ちゃんはそう告げて、またあの化け物に向かって行ってしまった。
ひどい怪我してるのに!
片目だって、さっきからずっと押さえてて見えてないのに‼︎
「待って………お姉ちゃん!」