第3章 響く音はひろがりとどく
「終わっタカ?」
「待って………ほしいなんて…言ってないよ。」
ニタリと笑う虚は、片目と仮面を削られていて息も上がり、動きも遅い様だ。
かくゆう私も、肩に刺さる牙と目の傷を抱えていて、決して楽な状態ではない。
牙には毒の能力でもあるのか、全く動かせなかった。
それどころか、腕だけでなく他にも広がっていて、足も動かしづらくなっている。
右目も斬魄刀で斬りつけた時に、硝子玉のような虚の眼からその破片が飛び散り、開けることが出来ない。
振り上げた尾が眼前に迫る中、整わない息の合間に私は呟く。
「縛道のっ八 …斥!」
バチィン‼︎
手の甲に己の霊圧で作った楯を出し、尾の攻撃を防ぐ。
その隙に瞬歩で虚の背後にまわり、斬魄刀で斬りつけた。
が、振り下ろしが遅く躱されてしまう。
「ジリ貧だナ………死神」
「まだっ………私は、やれるよ」
にじり寄りながら、斬魄刀を構える。
ダッと走り出したときーー
「ぐ………ゲホっ!」
いきなりの吐血に、動きは止まってしまう。
霞む視界に、好機とばかりに虚が攻撃してくるのがみえる。
まずい………避けれない。
「千春ちゃっ………泣かせちゃうっかな…」
ぽつりと、そう呟いた。