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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第3章 響く音はひろがりとどく




「………っ!!どうしよう………!」




花束を取りに走った私は、無事に目的は果たした。


潰れてしまっていても、チューリップの花はちゃんと折れずに咲いていた。

安心したのも束の間、そこで奇妙なことが起きた。



斬られた躰の一部がずりずりと動き出し、そこから蛇の化け物の顔まで生えてきたのだ。



咄嗟に鈴を鳴らして音を響かせれば、化け物は躰をびくつかせて近寄れないことがわかった。

だから私はお姉ちゃんに言われた通りに鈴を鳴らしながら必死に走っている。


「く、るしい………」


はぁはぁと直ぐに息も上がるし、花を抱えているから上手く走れずにいた。



「大丈夫っ…来てくれるって…言ったもん」




思い出すのは、鈴をくれた日の約束。




『本当に? 来てくれる?』
『うん、絶対行くよ。』



だから………怖くても、あきらめない。





グッと力を入れてまた走る足を出した時ーー
もつれて、体が前のめりになる感覚がした。



「あ!!」



転ぶ!っと思って、でも腕の中の花束は潰したくなくて。

ズサァっとコンクリートに転がる。
肩や膝小僧が擦りむけ、熱くて痛かった。




「いったた………」



目を開ければ、ほんの少しの距離に蛇の化け物。


鈴を鳴らそうとしたけど、転んだ弾みで手から離れてしまっていた。


精いっぱい手を伸ばしても、届かない鈴。




その間にも、どんどん近づく化け物に、押し込めた筈の怖さが一気に出てきた。

「見エルよ。恐怖で心ガ満ちテルね。 
いいヨ………。美味そうダ」


「たすけ………て。たすけて…」



怖さで体が動かない。


震える体も、擦りむいて痛いはずの傷も
分からなくなるほどに。


なのに、涙は止まらなくて。




大きな口を開けて襲ってくる化け物を、ただ見ている事しかできない。
 





怖いと  思った






「………たすけて!お姉ちゃん‼︎」



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