第1章 始まる音は聞こえない
静けさの中をこちらに向かう足音の主に、
一護は声をかけた。
「サンキュー、ルキア。助かったぜ」
「たわけ、もっと早く倒さぬか!」
彼女は死神 朽木ルキア
かつては空座町で虚退治や
魂をソウルソサエティに還す駐在任務をしていたが、
紆余曲折あった今では護廷隊の副隊長を務めている。
ぎゃいぎゃい言い争う朽木さんと黒崎だったが、 気になった僕は朽木さんに質問をする。
「でもあの光の柱のおかげで虚は倒せたんだ。
あれは一体なんだい?」
「斬魄刀を軸にする縛道で刃柱瞬壁と言う。
簡単に説明すると、斬魄刀で光の壁を築き遮断する技だ。
今回は虚を留めるため、柱は2つ必要だったがな。」
「2つ? じゃ、もうひとつは?」
「実は新しい空座町の担当死神を同行させていて、そ奴の力だな。」
「すごいのか?今度のやつは」
「腕は立つし私と同じ隊の3席だ。
間違いは無い。」
質問する黒崎に朽木さんは自慢顔で僕に話した。
「よかった。
ソウルソサエティは復興で忙しいって
浦原さんから聞いていたんだ。」
僕は崩れ落ちた建物や暗い空の風景を思い出した。
嵐が去った後の様に荒んだ世界を治すのは、
そう簡単な事じゃないだろう。
「少しずつではあるが前に進んでいる。
待たせてすまなかった。」
朽木さんはそうゆうと頭を下げていた。
驚きつつもそれに答えたのは黒崎だった。
「やめろよルキア。
俺はやることをしてるだけなんだからよ」
「僕だってそうだ。
黒崎の手助けばかりしてるわけじゃない。」
「ああ⁈」 「事実だろ?」
何度目かの口喧嘩に溜息をつくルキアであったが、
変わらない2人に心から安心した。