第3章 響く音はひろがりとどく
思い出す 千春ちゃんに言った言葉を。
信じて と私は伝えたはずだ。
あの子に安心してほしくて、そう言ったはずなのに。
握る斬魄刀にも死覇装にも虚の血がべったりとついている。
きっと顔も同じだろう。
千春ちゃんの笑顔が頭をよぎる。
ふわりとやわらかい、かわいい笑顔。
でも、今の私はあの子には会えない。
こんな姿見せたくない。
「こんなんじゃ………だめですね。
酷い格好だ」
顔を上げた石津は、困り顔をしていたけど
いつもの石津だった。
冷たかった瞳の色も、あたたかい琥珀の色に戻っていた。
ほっと安心して、やれやれと息をつく。
「ありわっ…ぷ!黒崎さん?!」
「さて、敵を背にしたままなんだ。
いっちょやるか。」
乱暴に石津の顔を、死覇装の袖で拭って血をはらった。
戸惑いの色が顔に出ていた石津だったけど、
集中したのかすっと油断なく前を向いた。
「いくぞ、石津!」
「はい‼︎」