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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第3章 響く音はひろがりとどく


胴体の胸に丸く黒い孔が空いている。
これは、苦しんだ末に出来た心の孔。


白い仮面。
これは、堕ちた霊が失くした心。



それらを身につけた体は、大蛇の如く大きい。




ゴツゴツと尖った鱗が体を覆い、
鋭い2本の牙と先が二つに裂けた長い舌が口から覗く。



特徴的なのは目と尾の先が水晶のようなものでできている。
その瞳は、毒々しいほど紅い。





まるで蛇そのものが、虚になったかのような姿だった。









虚に向き合った私は、思うことを口にした。



「貴方はどうして………あの花瓶を攻撃したの」



視線の先ーー虚の身体のすぐそばには、ご両親が千春ちゃんの為に供えたガーベラの花束が無惨に潰れていた。



「あの子を狙うならわかる。最初はそうだと思ってたけど違ったから。
初撃は明らかにそれを狙ったものだった。     ………どうして?」



身体をくねらせながら虚は答えた。



「見テイたンだ、嬉しソうニ貰ってルトコ。
俺は美味イ魂しか喰べなイ主義でネ。

同ジ魂でモ喰べルなら、絶望してル魂の方ガオイシイんだ。」



にやぁと歪んだ笑みで、楽しみを待つ子供の様に甘い声で告げた。









「デ………どうダッた?泣いテいたカイ?
絶望シていたカイ?」








ドン‼︎

 




「貴方が……最低な奴なのはわかった。」









頭に血が上って、グラグラする。


























   もう     話さなくていいよ






     許してなんか  やらない













































虚に対して、感情論なんてものを当てはめるのは間違いなのは分かっている。






喰べたいから魂を襲って喰べるし、恐怖すれば逃げもするのだろう。





とても本能的で、情なんてない様にも思える。














けど。 この虚はーー。






人の思いに、味をしめた。



どれだけすれば心の中が黒く塗り潰されてしまうか。どうやれば悲しんだりするのかを、分かっているんだ。














人をーー心を



なんだと思っているんだ











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