第2章 戸惑いこころ
「ったく、忙しねぇ奴だな。ちょっとくらいゆっくりしていけばいいのによ。」
「彼奴はもともと、生真面目で隊務もよくこなしているからな。だが、そこが強く出過ぎるのはたまに難ありかな。」
石津が居なくなって二人で隊舎までの帰り道。
「なあ、恋次………。私は石津の助けになれただろうか。」
一人でいる石津を雨乾堂で見つけた。
直接何かを言ってきたわけではないが、そうしている彼奴は悩みがあると、昔からよくそこに居た。
だから今回も二人で過ごして、石津の言葉を聞いて、私も思うことを伝えた。
あれで、彼奴の心を軽くしてやれたのか。
私は浮竹隊長や海燕殿が、私に教えてくれた沢山の事に救われた。
だから、あの人達の様に石津にも何か示してやりたいと思ったのだ。
もちろん石津だけでなく、他の隊士にもその気持ちは揺るぎなくある。
でも、これでよかったのかと
胸にちらつく一抹の迷い。
下を向いて自分の長い影を見ていた私に恋次が近づく気配がした。
「ばっかやろう!何言ってんだ。」
「な、何をする恋次!髪がぐちゃぐちゃではないか!」
思い切り髪をわしゃわしゃと撫でまわされた。
「やめろ馬鹿者!」
「あぶね!」
ぶん!っと振り上げた拳をさらりと交わした。いきなりなんだと思い睨み付けると、恋次は私に向かって言った。
「聞いたろ?石津はお前に礼を言ったじゃねぇか。要するにあれが答えた。あいつにはちゃんとお前の気持ちも伝わってるさ。」
『ありがとうございます、ルキアさん』
真っ直ぐな瞳と真っ直ぐな言葉
恋次の言葉に胸が軽くなる感覚がした。
「そうだな…。」
空をみると低い位置に月がきていた。
夜明けが、近い。
私も自分の成すべき事を成そう。