第2章 戸惑いこころ
夜風が吹いて、髪を撫でていく。
石田の部屋には井上の霊圧があった。
きっとパンでも渡しに来ていたんだろう。
放課後、井上に電話をした。
借りてた参考書をいつ返せばいいか聞きたくて、たまたまかけたんだ。
ちょっと沈んでて、あいつは元気無さげな声で。
『どうしたんだよ、井上』
『例えば、なんだけどね?私の友達が落ち込む…と言うか悩みがあるとしたら、黒崎くんはどうしてあげたらいいと思う?』
『………その悩みの程度にもよらないか?んー悩みねえ…。
俺は、待っててやるぐらいしか出来ねぇんじゃないかと思う。』
『待つ?』
『悩みなんて大体、言いたく無いことの方が多いだろ。それを話してもいいって、そいつが思うまで待つ。んで、聞いてやればいいんじゃねぇか?』
『そう…か。』
『それに、悩んでるそいつはいざ溢したくなった時に、聞いてくれる奴が居なかったとしたら…。それは、井上がなってやればいいと俺は思うぞ。………そーゆーの井上は得意だろ?』
『………………やっぱり、すごいや。
ありがとう黒崎くん。
………………あ、参考書は本当にいつでも大丈夫だからね!』
『ああ、サンキューな。井上』
どうして井上がそんなこと聞くのか。
千春の今回の事だって、そうだ。
俺の知らないところで、何かあったんだろう。
ガチャッとドアの開く音でそっちを見れば
石田と千春が出てくる。
時計を見れば10分くらい経っていた。
「もういいのか?」
「うん、お兄ちゃん。待っててくれてありがとう」
頷いた千春は、石田と話す前より元気に見えた。
とりあえずは、良かったのかもしれない。
「待たせてすまないな、黒崎。」
「千春を待ってただけで、テメーじゃねーよ。」
「なんだと?!」
青筋たてた顔で睨んでくる石田に、俺は口を開いた。
「石田…。明日の放課後ちょっと付き合えよ。」
俺の声色の変化に気付いた石田は黙ったが、やがて頷く。
その日は、千春を送ってそのまま俺もうちに帰った。