第2章 戸惑いこころ
確かこの辺りのアパートで、二階の1番奥…お、ここだ。
表札に石田と書かれている。
千春に向き直ると、ここだと伝える。
少し不安そうな千春にしゃがんで俺は言った。
「顔馴染みだから、呼んでやる。こんな時間に一人でお前を還すの危ないから、待っててやるよ。」
石田を呼ぶために、ドアフォンの呼出ボタンを押す。
何度も連打で。
探していたのが、石田ってのがなんかシャクだから。
ドタバタと近ずく足音と乱暴に開かれたドア。
「うるさいんだよ、黒崎!一回すればわかるんだ!嫌がらせか?」
「………そんなとこだ。」
「はあ?!って………」
俺の後ろにいる千春に気づいたようで口を閉ざす。
「千春がオメーに会いたかったんだと。」
不思議がる石田は千春に視線を合わせて話している。
「俺は外にいるから、終わったら声かけてくれ」
返事を待たずに俺は石田から目を逸らす。
千春の頭に手を置いて、大丈夫だと笑う。
「すぐ、だから。…お兄ちゃんも、いきなりすいません。」
ぺこりと頭を下げる千春は石田に促されて部屋に入る。
千春が何のために石田に会いたいのかはわからない。
だけど今は、待つ事にしよう。