第2章 戸惑いこころ
パタパタと走りくる音が襖の前で止まり
石津さんが中に入ってくる。
長湯を心配した雨が、自分で声を掛けたみたいだ。
雨に謝る彼女に、座っていた腰をあげて声をかける。
「少しいいですか?石津さん」
「はい。なんでしょうか?」
こいこいと手招いて彼女を廊下に連れ出し、向かう先は先程の土間。
なんだろうと不思議顔の彼女に障子を開けて見せた、ある物。
白い水玉模様の傘。
「先程、石田さんが訪ねてきましてね。
貴方に返してほしいと頼まれたんです。」
驚いた彼女の瞳は、白い傘に向いていた。
「彼も全身ずぶ濡れだったんで休んで行くように声をかけたんですが、断られちゃいました。」
「ずぶ濡れだったんですか。」
「はい、あれは風邪引かないといいんですがね…」
店を訪ねた彼を思い出す。