第2章 戸惑いこころ
浦原商店に着いて、引き戸を開けようと伸ばした手はひっこめた。
先にガラガラと勢いよく開いたから。
どうやら浦原さんが中から開けた様だ。
「おかえんなさい、石津さん。遅かったっすね。
早く上がって着替えた方がいい。」
「ただいまです、浦原さん。心配かけてごめんなさい。」
死神姿のままとはいえ、全身ずぶ濡れの私は
お店に入っていいのか躊躇っていた。
「謝る必要ないっスよ。
濡れたって構やしませんから、上がってください。」
その言葉が背中を押してくれて、いそいそとお店に入る。
土間に腰掛ける浦原さんにテッサイさんが声を掛けていた。
「店長、湯の支度整いました。石津殿、お疲れ様でしたな。」
「いいタイミングだ。石津さんは先にお風呂入ってくださいね。風邪引かれたら、アナタのしたい事も出来ないでしょう?」
「………はい、ありがとうございます。
ちゃんと温まりますね。」
浦原さんにそう応えて、土間から上がろうとした時。
視界を遮る柔らかい………なんだろう、タオル?
大量のタオルをふぁさぁっと掛けられて、ビックリした。
「…………テッサイ、さん?!あのこれわぁーー!」
息苦しいし動き辛くて、理由を聞こうとしたらいきなり手を引っ張られている私。
体の低さから察するに、雨ちゃんかな。
「脱衣所まで我慢してください。」
早足で連れていってくれる彼女には申し訳ないが、腕がすごく痛い。でも、我慢だ。
着いた脱衣所で義骸に入ったモネと会う。
膝を抱えた姿は千春ちゃんと重なったけど、こちらに向けた顔は怒ってはいないようだった。
「おかえりなさい。………大丈夫ですか?」
ただ、そう呟いて私を見つめる。
そんなモネに安心してほしくて答えた。
「大丈夫だよ。待っててくれてありがとうモネ」
黙ったまま頷いた彼女に
私はお願いして義骸に戻った。
雨ちゃんはぺこりと頭を下げて、脱衣所を出て行く。
寒気がすごくて直ぐにお風呂に入ることにした。