第2章 戸惑いこころ
走り続けて、腕も足も限界になってゆるゆるとスピードを下ろす。
肺が痛い 呼吸が苦しい
息を吸って吐いて、整える。
ずぶ濡れになっている自分は
きっと側から見たらすごく変なんだろうと
他人事の様に思う。
制服のポケットから義魂丸を取り出して飲み込む。
振り返れば義魂丸の彼女ーーモネがいる。
名前は見たことない花が気に入ったみたいで調べたらアネモネと言う花。で、モネにした。
本人も気に入ってくれたからよかった。
にこりと微笑んでモネに折り畳みの傘を開いて手渡す。
「ずぶ濡れでごめん、モネ。すぐそこが浦原商店だから、先に帰っていて。」
「あなたはどちらに…?」
「千春ちゃんに会いに行く。」
私の言葉に信じられないと言わんばかりに見開いたモネの瞳。
「どうしてですか?何も今じゃなくても……」
「あの子にとって、今の私の状態なんて関係ないんだよ。約束したの、モネだって聞いていたよね?」
「……………」
『千春ちゃんと仲良くなりたいから
毎日会いに行くね。約束!』
『約束だよ!』
「明日が月命日の日なんだ。だから、それまではあの子の願いを叶えたいの。半分は私の我がままな約束だしね。」
真っ直ぐモネの目をみて話した。
わかってくれた…顔はしてるけど、ムスッてしてるなぁ。
モネの顔に苦笑う。
「無事を確認したらすぐ帰るから!」
「わあ!ちょっ………待ってください!」
モネの体をぐるりと反転させて、その隙に瞬歩で私は移動した。
悪いなあと思いつつも千春ちゃんの元に向かう。
モネに聞こえていたとは正直思わなかった。
彼女の心配してくれる気持ちはありがたいけど、いまは何かしていたいと思う。
でないと、ぐちゃぐちゃした心にのまれてしまうから。
結局、自分のために私は動いているだけだ。
ダメ。今のまま、千春ちゃんには会えない
ギュッと拳を握って気持ちを切り替える。