第10章 冬、めぐる狐日和のなかで
翌朝--。
制服に腕を通して、冬のセーターを着る。
マフラーにコートを羽織って、商店の入り口に私はいる。
「いってらっしゃい石津さん。寒いんで気をつけてくださいね。あ、また魏骸の点検しますんで、よろしくお願いします。」
「浦原さん……はい、ありがとうございます。
いってきます!」
ジン太くんや雨ちゃんは先に登校して行って、浦原さんが最後に送り出してくれた。
手には鞄と、鐵斎さんお手製お弁当が小さく楽しそうに揺れていて。
睡眠不足で眠さは拭えないけれど、
それでも、ほんの少し--嬉しくて。
みなさんに会ったら、ちゃんと言わなきゃ。
"ありがとうございます!"って。
そうして登校した冬晴れの朝は、いつもより澄んだ空気のように感じた。