第10章 冬、めぐる狐日和のなかで

目を逸らさず、ゆっくり言葉にした。







戦いを選んだ事に後悔はなくても、傷つけてしまった事実に目を瞑ってやり過ごせたとしても、命を奪った事を無かった事には出来ないし、したくもなかったから。




ただそれとは別に。




恥ずかしい言葉を口にしたのも、耳が熱く感じるのも、わかってる。



だけど、自分じゃ無い誰かの為に頑張っている彼女に、少しでも伝えたくて。




どんな事でも考えることが悪いはずは無い。

気づいていないんだろけど、それも先の"誰か"を思っての事なんだと、僕は彼女と過ごす中で、知れた事。



とても良い事だけど、ずっと続けてしまえば支えが必要になるだろう。


石津さんが、頑張りすぎて疲れてしまわない様に。

誰かを頼るなんてことがもしもあったなら、僕が真っ先に手を差し伸べられる様にしたいーーなんて。


　



あとは、辛そうな顔をしているのが、少しでも和らいでほしいって思うのは………隠れた私情だったりする。