第10章 冬、めぐる狐日和のなかで
さらり はらり
解いた髪が風にゆれて、私の手には相思鼠色の結い紐がある。
ところどころ褪せて
くたびれ短くなってしまっても
柔らかいくすんだ水色が目にやさしい。
「私が逢いたいと願う人は………この紐をくれた人ですね」
いつから持っていたのかは 曖昧で。
貰ったものか はたまた 拾ったものか
分からないから 気になった。
雪子母さんから聞いた話。
私を流魂街で見つけ保護した時に
手の中に握りしめていたんだと。
虚から友人を担いで走って逃げ切った時も。
家族と笑って過ごした時も。
霊術院の試験や修練の時も。
瀞霊廷での目紛しい日々のなかでも。
確かに、身に付けていたもの。
『じゃあ、御守りにしなくちゃ!』
雪子母さんや兄妹に言われて、妙に納得した気持ちになったっけ。
以前にも増して 大切にしようと思った。