第10章 冬、めぐる狐日和のなかで
霊圧の損傷は、私のチカラを半減させている。
鬼道の数の制限や極力死神にならない事が、チカラを抑えて、内の修復を図るためのもの。
つまりこれは--。
私に許された風司のチカラの許容を、超えていると考えるのが妥当だ。
千春ちゃんや、虚退治の後に出会った初老の男性の護りとなるために。
そして、今まさに自身が入っている義概にチカラを馴染ませるために。
霊力で編まれた鈴と結い紐は、既に多数ありかつ、機能を働かせている。
ならば、新たに創り出すのは--当然不可能なのだ。
「……………っ」
頭では、わかってはいるんだ。
それでも、悔しいと思う気持ちが消える事はない。
彼に、英尚おじいちゃんに何かあったとき、いち早く動けない。
それは--護ることに反する。
重苦しい胸を、グッと耐えて。
でも、私に出来る事をすると--決めたから。
「化物なんかにはさせない」
そう、言葉にしたから。
ふっと瞳を閉じて決意を新たに、その日は布団に入ることにした。