第9章 約束したから
「……………強い、か」
確かに石津さんは、強い人なんだと僕も思う。
戦うこと、人を思えること。
どちらも彼女を"強い人"たらしめているものだ。
だけどーー少しだけ、その言葉が引っかかる。
『あの時とは全然状況が違ったとしても………傷を負う人を、私は見たくないんです。
だから這ってでも、止めたいって思いもあります。
きっと石田さんの言うとおり…………怖いんです。』
よぎる石津さんの思い。
強くあろうとする彼女の姿はその実、大事だと思う人を失う怖さや、護るためには自身を顧みないことを僕は知っているから。
どうしても--危うく感じてしまう。
石津さんには、みんなと同じように笑っていてほしい。なんて思う。
「どうした、石田?」
「………僕に出来る事って、少ないなって思ってさ」
難しい顔をしていたからだろう、茶渡くんが声をかけてくれる。
「少ない中でも、見つけて実行するのが俺たちだろ。大丈夫だ」
「…………ありがとう」
茶渡くんがグッと親指を立てて優しい目を向けてくれた事で、少し前向きになれた。
「まあ、いつも無茶した挙句に怪我してるのを見てると、こっちは気が気じゃないけどな」
やれやれと眉が下がる茶渡くんに、内心ドキリとした。
少し前に見た茶渡くんと、石津さんのやりとりの残像が頭を過ったから。
「…………茶渡くんは、石津さんの事どう思ってるの」