第9章 約束したから
「それが、石津さんに話したことだ。」
寒空の下で聞いた石田の話は、何つーか。
心構えをしてきたつもりの俺でも…キツかった。
言葉の端々に、石田の後悔や自責が滲んで聞こえて。
ちゃんときいてはいたけど、俺自身も九年前の雨の日を思い出してしまいそうになった。
大事に思う人。失くしちゃいけない人。
それを自分の所為で世界から奪ってしまった。
自分を呪いさえした思いを、石田はもしかしたらーー俺以上に抱えてたんだって思うと。
何を言葉にしても、石田の心に泥を付けてしまうだけな気がして言えなかった。
だけど、気になった事がある。
石田は周りをよくみれる奴だから、余計なことは口にはしないタイプだと思っては……いてもだ。
俺が言いかけた言葉を、やっぱり石田はすぐに理解して答えたから、ビックリだったーーいろんな意味で。
「石津さんには迷惑や嫌なことをしてしまったから、これ以上真実でもない事を言ったところで余計に彼女を傷つけるだけだ。
……………………そんなこと、僕がしたくないんだよ。」
ビックリだ。
石田のやつが、そんなことを言うなんて思いもしなくて。
なんか…………言外に伝わるあれやそれやだ。
こっちまで気恥ずかしくなったけど、石津に対して、以前とは違う心境になれたのは俺自身も少なからず安心した。
「前にも言ったけど、お前がそんな風に石津の事を考えてやれるようになれたんなら、俺は良かったと思うけどな。
いっつも余裕ない顔して、変だったんだぜ?」
図星刺されて固まってる石田は、ちょっと面白いが、うん。やっぱり、よかったと思う。
「そりゃ友達なんだし、嫌なことさせたくないと思うのは当然だろ?!」
「…………………………………………は?」
待て。
まてまて。
確かに石津の為ではあるんだろうが、それだけじゃないだろッ。
滲んでるんだよ、言葉の端々に"大事だ"って。
それを隠せてもいないのに、友達の二文字でどうにか纏めたらしい。