第9章 約束したから
無性に泣けてきたのは、自分でわかっているからだ。
石田さんが好きなんだという思い。
けれどそれは、叶うはずもないのだと言うことも。
私には分不相応だし、もともと成就を願いたいわけではないのだ。
ただ純粋に、護りたいと思う気持ちも強く在る。
私は死神だ。
その存在故に、出来うることが人とは違うけれど、心は人と同じように思えるはず。
大切なひとだから、自分で護りたい。
恋慕の情も、護りたいと思うその気持ちへと変えられるとわかったから。
不意に、以前石田さんが言ってくださった言葉と霊術院で学んだ事を思い出す。
『僕らもう………友達みたいなものでしょ?』
死神 皆 須く 友と人間とを守り死すべし
まだーー戻れる。大丈夫。
石田さんへの気持ちに気付く前の自分に。
だけど今は、ひとりだ。
心に蓋をする前に、今だけでも、自分の為に泣いておこう。
どうしたってこの場を離れたら、それは出来なくなるだろうから。
そして。
この涙は、きっと通り雨みたいにーー気付いたら止んでいるはずだから。
顔に降り注ぐ霧雨は、止まない。
空は晴れていても、それがひどく冷たく感じて喉がグッとつまる。
「通り雨ってんなら、早く止めろよ………………アホ主」