第9章 約束したから
耳に響く音が、頬を掠める風が、強く吹くものから弱く落ち着いたものになっていたから。
目の前の世界の色が、墨をこぼしたように重くて暗い夜から、淡くとも橙や紫色の光を伴う空へと変わったから。
アンタがこちら側に来るのだと、俺は確信していた。
ぶわりと一際強く吹いた風に、思わず閉じた視界を開くとーーやっぱり。
そこには、思った通りに現れたアンタがいて。
の、だけれど。
ぐしゃりと歪んだ表情と、流れる涙。
一瞬にして思っていなかった状況になって、俺はただ慌てるしかなかった。
"ふぇ……………っぐ、
ご、ごめ……なさいっ"
"私、………悔しくてっ"
''貴方と一緒にっ
強くなれてるって思ってた!
たくさん鍛錬して
毎日少しずつでも。
一緒に戦えてるって。"
"でも違った!
私はっ貴方がいなきゃ何も!
何も……出来なくて!
ただ、這いつくばってただけだよ…"
"くやし………よっ!"
俺が戸惑っていても、しゃっくり上げながらのアンタの言葉は耳に届いて。
自分の弱さや出来なかったことへの悔いる気持ち。
心痛している事を、理解はした。
だけど………だけどっ。
"なんでアンタが謝るんだよ……ッ"
気がつけば、俺は声をあげてしまっていた。