第9章 約束したから
殴り飛ばされた痛みもあったが、それよりも。
一息の間に変わった現状への驚きで、目が釘付けになった。
現れた死神のあの人は………誰だろうか。
救援に来てくださったのは理解出来たが、思考するだけの余裕はなかった。
そして飛ばした虚の腕はそのままに、幕引は唐突に訪れる。
放たれた見知らぬ鬼道によって左上半身を抉りとられた手負の虚は、その勢いのまま大木に縫い付けられて………刹那。
眼前の人影が消え失せていた。
すると虚の昇華が始まり、仮面も体も崩れはじめている。
と、崩れ落ちながらも虚の振り上げられた左腕が、殴りかかろうと最期の抵抗をみせた。
そんなになっても動ける虚に驚きはしたが、今は……知らせなければっ。
昇華し出した事でこちらに向き直ったあの人は、私の目に映る事実には気づいていない。
視界に流れ落ちる自分の血で目が染みる。
ズキズキした頭部の痛みで意識も保てない。
お願いだから…………まだ気絶しないで!
「くっ………!」
渾身の力で投げ放った斬魄刀の行方を見届けられぬまま、私は意識を飛ばした。