第9章 約束したから
「よし、そろそろ実習に於いての刻限となる。皆、励め!ただし無理はするなよ!」
「はい!!」
現世に赴き、その日の夕刻までに定められた課題を四人一組でこなす趣旨の実習が設けられた。
実際に護廷隊の任務に近しいものがやれるとあって、私は緊張しつつも意気込んでいた。
見廻りと魂葬が主だっていて、無事に夕刻を迎えられると安堵していた。
虚の出現で、その安堵の心はがらりと塗りつぶされた。
「東條くん、しっかりして!!」
「…………っあ!………クソッ」
山中で出会した虚との戦闘で、すでに仲間二人は重症だった。
もう一人の仲間も、脚を潰されて動けない。
「今はとにかく………先生に連絡と救護要請!」
「馬鹿いえ………っ石津一人であの虚は討伐出来ねぇぞっ………イデェ‼︎」
己の制服着物を破り、とりあえずの止血くらいしか出来ないのが歯痒い。
みるみるうちに、白い着物から滲み出た血が退避した木上の枝葉に染み付いた。
このまま何も出来ないままじゃ、全滅だってあり得る。
「議論してる暇は無いってわかるでしょ⁈
今動けるのが私だけなら、時間稼ぎが必要なのっ!実習なんかで死ぬなんて御免よ!」
「……言えてらっ。要請依頼任しとけ」
「ありがとう……!」
私の剣幕に押されて、開きかけた口を閉じた東條くん。
どうやら彼も、それが一番の最善だと納得せざるを得ないのだろう。
そして私は、虚の前に一人立ち塞がった。