第9章 約束したから
『実穂が決めた事なら、母さんは頑張れって応援したいよ。
でもね………霊術院に通うなら、なかなか会えなくなるから寂しいわ。
兄弟たちも私も、あなたとの生活は楽しかったから殊更にね。
それに死神になれば、命に関わる仕事だって少なくは無いし、大事な家族が傷付くなんて嫌だよ。』
私は、決心を思い切って打ち明けた。
優しい音の中に、確かに、身を案じてくれている響きがあった。
笑ってはいるけれど、すこしの翳りがみえる。
大事だと言ってもらえて嬉しかったけど、母さんの気持ちもわかるから、私は上手く言葉を返せなかった。
『だけど怪我をしてもいい。
辛くなって座り込むこともあるかもしれない。
母さんのお願いは、何があってもちゃんと家に……家族のもとに帰ってくるって約束してね。』
雪子母さんは、私達家族の話を否定したりはしない人だ。
いつだってちゃんと聞いてくれて、分かろうとしてくれる。
母さんが思う気持ちも、話してくれる。
素直な人だと、思う。
あたたかくて、優しい。
この人みたいに在りたいと、何度思っただろうか。
『……………はい、約束します。
ありがとう雪子母さん。』
私の言葉にふわりと笑ったその人は、
次に会う時も、安心させてくれる顔で迎えてくれるんだ。
無事に霊術院の合格書が届いてから少しして、私の新しい生活が始まろうとしている。
『寮に住むなら、長期休みが出来たらちゃんと帰ってくるのよ!』
『えと、3ヶ月先だけど………………はい、ちゃんと帰るのでそんな顔しないで』