第9章 約束したから
人より、体力も速く走れる足もあった。
人には無い、霊力の素養があった。
それが細やかで内緒の、自分の誇りだった。
死んだ身で、そんな気持ちがあるのが少しだけ意外だったけれど。
私が住まう流魂街の地区は、今日明日の生活に苦労するなんて人を見た事がない。
そう、治安はいいのだ。
盗人も、喧嘩も、けたたましい怒声もない。
だからといって、安住の地だともいえない。
虚の存在。
流魂街に雪が降るなんてあり得ない確率で、でもそれぐらい低い確率でも、ヤツらは現れて住人を襲っていた。
悪くすれば、死人すら出る始末。
今思えば、偶々。
遭遇した虚から友人を背負って己の脚だけで逃げきれた事があった。
偶々で、運が良かったんだ。
すごく怖かった。
何度も、もう駄目だと思った。
それでも友人が無事でいると分かった時、安堵した以上に、もう誰にも、こんな思いをさせたくないと心が震えた。
戦えるチカラを得ると、私自身に誓った。
死神になると、誓った。