第9章 約束したから
石田が、黒崎に昔語りを始めている時ーー。
場所は、浦原商店の地下勉強部屋へと移る。
実穂は浦原に許可を得て、刀禅をさせてもらえる事になり、その場へ降りてきていた。
風司と、お互いの思いを話すために。
ここ暫くの自身の心情の乱れは、当然ながら彼にも伝わっている。
今のままでは良くないと、私も彼も互いに、言葉を交わさなければいけないから。
共に前に進むためには、向き合うことも必要だ。
ざりっと草履で地面を踏みしめ、徐に両掌を見つめる。
久方ぶりの死神化。
身に纏う死覇装も、腰に下げた風司の重みもひどく懐かしく感じる。
「好きに使ってくださいね」とへらりと笑いながら快諾してくれた浦原さんには、感謝だ。
鞘から風司を抜き、膝に置いて座禅をくむ。
目を閉じて。
深く 深く 息を吸って。
ゆっくり 吐き出す。
肩の力を抜く。
刀身の冷たさがじんわりと温かいものに変わって指先に伝わる。
心を 風司に むける。
瞳を再び開けば、景色が変わる。