第9章 約束したから
人の気配を感じて、そちらに目を向ければ黒崎の姿があった………のだが。
ブスッとした顔だった。すんごく。
冬の夜に公園に呼び出されれば、そんな反応をされるのは仕方ない気もした。
「寒みーよ。てか、なんだよあのメッセージは。わかんねぇって」
「でも、来てくれてるじゃないか」
「石田が行くなんて書いてあるからだろ。話がアレなんだ、あんまり聴かれたくねぇんじゃねぇの?」
まさかの黒崎からの言葉に、少しだけ驚く。
心情的には彼の言葉の通りではあったけど、なんというか、こそばゆい。
だから気恥ずかしさを隠しつつ、小さくお礼は言うことにする。
「……………君に気を遣われるのは癪だな。でも、助かるよ」
「…………けっ、一言が余計だっつーの!」
ふっと途切れた会話は、静かな夜に消えていく。
互いに一人分の距離を空けて、僕らはベンチに腰掛けている。
黒崎とは、なんだか目線を合わせづらくて。
「話したのか、石津に。」
「ああ。君にも話す。」
ぽつりと呟いた黒崎に、僕もぽつりと返す。
さっきまでの軽口を叩いていた時とは違って、こう、空気を替える音に聞こえた。
さあ、腹を括れーー石田雨竜。
ここからはちゃんと言葉にしなくては。
石津さんのためにも。
そして。
隣にいる馬鹿みたいにお人好しで、だけど………真っ直ぐな友人のためにも。
「約束したから。」