第8章 鈴音の再会
思わずギョッとしてしまったが、目だけが窓の外に立つ黒崎さんから離れずにいる私と織姫さん。
「お、一護のヤツやっと来たか。」
「た………たつきちゃん?」
その言葉で、驚き固まってしまっていた私たちはギギギっと油を刺してない機械みたいに、やっとの事でたつきさんにむき直ったのだ。
「クリスマス会の計画の話、相談したいからってLINEしといた。………あくまでこじつけなんだから、今度こそ二人でどっか行こうって誘うんだよ!ほれ、待ってるんだから行っといで!」
「……っはいい!」
あたふたとしていたが、背中をたつきさんが押して、慌しく外へと出ていった織姫さん。
外では、黒崎さんと織姫さんが話し出したようだ。
呆気に取られていた私は、たつきさんと目が合って………彼女はやれやれと肩をすくめる。
「ああでもしてやらないと、あの子自分から動いていいのかわからないみたいなんだわ。
気持ちはちゃんとあって、しっかりしてるのにね。
変なとこ臆病と言うか………周りからしたらバレバレなんだけど。
あたしからしたら、そんな大事に思える相手がいるってだけで尊敬するんだけどさ。
応援したくなんのよ、友達だから」
たつきさんの言葉が、すとんと胸に落ちてきた。
理由はわからないけど、温かくてーー少しだけ苦しくも感じて。
窓の向こうに立つ二人を見つめた私達は、ぽつりと、ささやかに。
恋する友人に、エールを送った。
「あ、お二人戻ってきますね!
寒いから温かい飲み物注文するか聞いてきますね」
「いいけど、そのゆるんだ顔……戻してからにしなよ?
一護に不審がられるから」
「リ………了解です‼︎」
パタパタと小走りの実穂の後ろ姿に、やれやれって溜息も出るわよ。
どーせ、聞こえないから言うけどさ。
「さっきのは、あんたにも言えるんだからね………実穂」