第8章 鈴音の再会
町中が、華やかなライトや雰囲気に包まれていた。
現世では、クリスマスなる催しが間近に迫っているらしい。
どこかワクワクして、良く知らない私でさえ楽しみな気持ちになるのだから、不思議だ。
それはある日の放課後。
寒さを凌ぐ為に入ったコーヒーショップで、たつきさんと織姫さんと一息ついていた時の事。
「で、一護のこと今日こそは誘えたんでしょ?織姫」
「…………………いやぁ、ちょっと…」
「うわぁ、まだかこの子。クリスマスイブは明後日だよ⁈」
「…………………いやぁ、面目ないっす」
ため息混じりのたつきさんとは対象に、織姫さんは恥ずかしそうに頭をぽりぽりとかいている。
その光景が不思議で、私は聞いてみることにした。
「何か、黒崎さんに大切な用事でもあるんですか?」
キョトンとしたお二人の顔がこちらを向いて
たつきさんが、合点のいく顔をする。
「そっか、実穂はクリスマスの事知らないんだっけか。
クリスマスはね、友達とか家族とか好きな人とか……大事な人と一緒に過ごすのが一般的なんだよ」
「なるほ……………え、好きな人?」
「たたたったつきちゃん!!!」
「いや、分かりやすぎなくらいバレバレよ?
実穂気づいてなかったの?」
「仲が良いなぁと思っていたくらいで…」
「ウ〜〜っ!」
ガバリと頭を抱えてしまった織姫さん見つめ、頭の中を整理する。
織姫さん、好きな方がいらっしゃるんだなぁ。
黒崎さんを誘うーーーえ、あれ、黒崎さん?!
「ええっ!?」
「…………あんたも理解が遅いわね」