第8章 鈴音の再会
p.m 21:59
浦原商店 自室
「おかえりなさい、実穂様」
「…………ただいまモネ」
石田さんと別れた私は、商店へと戻ってすぐにお風呂を頂いた。
その足で浦原さんに挨拶をして、今日は休む事にする。
モネは、きっと寝てしまっただろうと思っていたのだが、予想は外れていて。
迎え入れてくれた彼女の顔は、どこか心配そうでーー私の様子を聞くに聞けない様な、そんな雰囲気があった。
それを、私は壊したくて笑う。
「これは、モネが見つけて買ってきたの?」
「……はいっ!何でも、現世は今の時期クリスマスなる行事が近いと聞いて、お花屋さんで買いました。“宿木"と言うそうです」
それは枝ぶりも、葉も細長くーー小さな白い実が印象的な植物だった。
「いつも有り難う、モネ。
こうやって四季に触れられるのは……癒されるよ」
「喜んでもらえて嬉しいです!
あ、でもたくさんあるので、浦原さん達にも分けてきますね」
その言葉と共に、モネは小さな手にたくさんの宿木の束を持って、部屋を出て行ってしまう。
本当に、人数分ありそうだったからーーしばらくはモネが部屋に戻ってはこないだろう。
…………気遣わせてしまったな。
一人の静かな部屋で、モネが弾いてくれた布団にドサリと倒れ込む。