第8章 鈴音の再会
「「いただきまーす!」」
食卓を彩る大号令と共に、夕食は始まった。
味噌鍋には、ニラや椎茸、大根や蓮根など冬野菜がたくさん入ってる。もちろん肉団子や鱈もあり、栄養満点だ。
人数がたくさんいてすぐに食材が減るのではと危惧していたけれど、そこはテッサイさんだ。
「まだまだありますぞ!」と気前よく出してくれた。
朽木さん達の状況を知りたくて商店まで来たのに、夕食まで頂いてしまっていて内心申し訳無いとは思うが、有難く食すとしよう。
もともとゆっくり食事をする方だからみんなよりペースは必然的に遅くなるのだが、気になることもあってーー黒崎や茶渡君より僕はなかなか箸が進まずにいた。
どことなく、石津さんの元気がないように見えたから。
井上さんや朽木さんと話していて普通に見えるーーけど。
不意に見る表情が、暗いような……?
つい、目が彼女を追ってしまっていた。
考えながら口に運んだはずの豆腐は、箸から滑って器にぽちゃりと落ちた。
マズイなと思っている横から、声がかかる。
「あちっ!なんだよ石田!汁飛んできたぞっ」
「っすまない、気をつけるよ」
「どうしたんだ?」
「目算を誤っただけさ……」
「珍しいねぇ、石田くん」
「本当に、なんでもないんだよ」
気恥ずかしさあって、言葉がまごついてしまう。