第8章 鈴音の再会
現れた二足歩行で鹿頭の虚の攻撃は、思った以上に厄介だった。
手足が長いことで、近づきたいのにいなされ
角から発射される種の様な弾丸は硬く、そこから伸びる蔦が攻撃の邪魔をする。
なにより、周りに被害が無いように攻撃するのは、思った以上に難しい。
朽木副隊長の攻撃は、斬りつけた空間の天地に架かる全てを凍らせる技--月白か、専ら斬撃だ。
逆に私は、体術や鬼道で応戦する。
やり辛いこと………この上ない。
「朽木副隊長!
絡まってる蔦切って、すぐ動けるようにしてください‼︎」
「何をする気だ⁈」
「囮になりますっ!
縛道の四 這縄‼︎」
素早く伸びた鬼道の縄は角に絡み付き、グルリと手早く縛り上げた。
突然の事で動けなかった虚も、現状を理解した途端に反撃してきる。
ブンブンと縄ごと振り回された私は、側からみれば釣竿に引っ張られ、全力で抵抗する魚に見える事だろうが、今はそれでいい。
死角にさえ潜れれば、勝てる………!