第8章 鈴音の再会
と、彼女の右手首に巻かれている三つ鈴の付いた紅い組紐が視える。
「それが、貴女の斬魄刀のチカラっスか。
……………なるほど興味深い」
銀色の鈴に込められたチカラは、一つ今まさに機能している。
淡い銀のベールで義骸そのものを覆っている、いや、コーティングしているのか。
斬魄刀自身のチカラと霊圧を、義骸に慣れさせる為だろう。
あくまで義骸は魂を入れる器に過ぎず、溢れてしまえばいずれ壊れる可能性もある。
ソウルソサエティに行く前に、身体能力向上型の義骸を造ってくださいと依頼があったのだが……理由はこの為か。
残りの二つの鈴はおそらく…。
からりと襖が開いた事で、考えていた頭は止まり朽木サンを見る。
「話は済んだのだな。
止められ……そうにはないか」
「はい、自分で決めた事ですから」
仕方ないと肩をすくめる朽木サンは、指令だと告げて二人で部屋を出ようと動き出した。
部下を思えばこその彼女の言葉もまた、正論。
だけどーー。
「いってらっしゃい、お二人とも」
戦う背中を、送り出す。