第8章 鈴音の再会
時は虚討伐の指令が入る、20分前に遡るーー。
a.m. 10:53 浦原商店 客間
「義骸での戦闘、ですか?」
石津サンに大事な話だから少し時間を貰えないかと、声をかけられた。
なんでしょ?っと顔に書いて待っていたアタシに、彼女は真剣な眼差しで話し出した。
「はい。霊圧の損傷は治りつつありますが、あと少しが足りません。
極力死神化せず任務をこなすのが、完治への一番のやり方だと思うんです」
「霊圧の補完だけをとるなら一理ありますが、義骸では生身で戦うのと変わりません。新たに傷を負うようなものだ。
それでは、本末転倒じゃあないですか?」
「勿論、考えはあります。
風司のチカラを借りる事にしました。
……………渋々って感じでしたが。
自分で決めて、力量をみて戦います。
退き際も心得ています。」
「アタシは、何も止めようなんてしてません。
ただ、石津サンの戦い抜く意志の確認がしたかっただけですよ。
虚討伐は斬魄刀が一番。 それを、使わない。
下手を打てば、死ぬ事だってあるんです。
大変だなんて、優しい言葉じゃ片付けられない事をするんです……でも、揺るがない。
貴方は大丈夫みたいだ。」
「ありがとうございますっ!」
……………安心したみたいっスね。
最もな正論を言われて、たじろぐのならダメだと言うだけだった。
しかし石津サンは、強い瞳で、譲る気はなくて。
それでも不安が無いわけもなかったらしく、長い溜息をつく姿を見れば、それは明白だ。