第8章 鈴音の再会
勢いよく走り抜けた林の先は………お寺だった。
木陰からの開けた視界と陽の光で、一瞬目が眩む。
一度目を閉じ眩みを抑えた私は、辺りを見渡す。
「この場所は、あの雨の日の……」
「来たことがあるんですか?」
「……一度な」
何かを思い出したような顔の副隊長が気にはなったが、今は索敵を優先する事にした。
寺内は、誰ひとりとしておらず静かなもの。
しかし指令があったのは事実で、くまなく気配を探る。
隣では朽木副隊長が、伝令神機からの情報を得ていた。
「座標も反応もこの場で間違いはないのだが………見つけたか?」
「いえ………何かぼんやりとしている感じです」
ピー!ピー!ピー!
「「‼︎‼︎」」
静寂を破った電子音に、私と副隊長は同時に空を見上げる。
一体の虚が此方に向かって跳躍してくるのが見えた。
「彼奴だな」
「そうですね」
刀を抜く副隊長と無手の構をとる私は
虚に対する為、向き合った。