第8章 鈴音の再会
「ただ………これだけは言わせてほしいんだ。
巻き込んでしまって、本当に御免よ。
君たちには関わり合いのない因縁、謂れのない恨み辛みを被ることになってしまった。
それ故に、傷付けてしまった事もある筈なんだ……」
体は自然に動いて、深く頭を下げた。
許してほしい。
ただ、事実しか言っていないのだから。
「………違いますよ。
ただ、自分で決めて動いただけで………。
滅却師として戦いに身を投じれば、この戦争の意味がわかるかと思ったんです。
僕に出来る事をして………欲しかった答えを探していました。
それに、いつかは起きるべくして起きた事ですよ。
どんな想いがあるにせよ、争いは終わりました。
今はそれでいいと、思います。
僕に関しての今回の行動は、何を言っても………みんな怒るでしょうが、許してほしいわけじゃない。
だから、貴方も………謝らないでください」
ありのままの思いを、目の前の彼はボクに話してくれたんだろう。
眼鏡の奥の揺るぎない錫色の瞳から、そうだとわかった。
己を律せる強さ。
動じることのない、心の芯がある。
いやあ ボクも負けてられない。
「決意の固さは岩より強し、だねぇ。
だけど………一護くんは許しちゃうと思うよ。
彼は、そうゆう男みたいだから。
まあボクも、後でみんなからしこたま拳骨貰う側だから………君も頑張んなさいな」
「そう…ですね」
ふっと溢した言葉と、どこか張り詰めたものが切れたような………そんな顔が思い出される。