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BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第8章 鈴音の再会




一番隊 隊舎室



さんざ言われた書類の山に目を通し、承認の印をおして、各隊ごとに仕分ける。


疲れを感じて伸びをすると、パキリと骨のなる音。
二刻近くもやってれば肩も凝るわけだ。




「久しぶりに頑張っちゃったなぁ〜」



と、入室希望の声と共にいい香りのお茶が室内に広がる。



沖牙くんが、お茶を煎れてくれたみたいだ。



彼のお茶は、割と好きなんだよね。
渋すぎなくて何より、香りが落ち着く。





「お疲れ様でございます。
少し休まれてはどうです?」


「ありがとう。
ちょうど一杯飲みたかったよ。君もどうだい、一緒に?」



「酒でなければ、有り難く。
今持ってきます」

彼の真面目な返答に苦笑いながらも、戻るまで待つ事にする。




さわりと風がながれて、窓際の風鈴をゆらす。


「なかなか風情がありますな。
耳に心地よい音だ」

「七緒ちゃんが付けたんだね。
気遣いができる子だから、彼女………」



ズズッ…と啜れば、鼻に広がる香ばしい香りと温かいお茶。
やっぱり、旨い。



「帰投した隊士の見送りもされたとか。
働き詰めは、身体に毒ですぞ」



「沖牙くんに言われたくないなぁ…」

「私は良いのですよ。
微力でも役に立つならば、この老いぼれ………いつまでも力を賭して働きます。

ま、生き甲斐ですな」





「そこまで言われちゃ敵わないなぁ。

まあ、気になる事に関りがある子だったんでね。
あいも変わらず、生真面目だったよ。


今の若い子は、みんな気負いすぎやしないかね?」



「………と、申されますと?」





こくりと含んだお茶は、美味しかったけれど…………京楽の胸には、少し苦い思いが蘇る。

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