第8章 鈴音の再会
「ありがとう………千春ちゃん」
お姉ちゃんにぎゅっと抱きしめられた。
不意な事で驚いて、嬉しい気持ちが溢れた……けど。
ありがとうの言葉が、ほんの少しだけ弱く聞こえたんだ。
気になったけど、腕の中から出てお姉ちゃんの顔を見たら、何も言えなくなった。
優しく笑っていてくれたけど、だからこそそれ以上理由は聞けないと思ったから。
それからお母さんが来るまで、こっちでの生活はどうかと聞かれた私は、嬉々として話した。
会う人みんな優しくて、荒れた街を頑張って元に戻そうって日々動いているから、私も出来る手伝いをしたい。
安心した顔のお姉ちゃんを見ていると、私の耳がパタパタと台所からやってくる、賑やかなお母さんの足音を拾う。
「お待たせっ!
穿界門の展開術式に時間かかるだろうから、その間にでも食べてね!」
お姉ちゃんの手に握り飯を渡して、お母さんは木戸を開ける。
「千春、雪子母さん、行ってきます」
「気をつけてね!」
「頑張ってお姉ちゃんっ!」