第8章 鈴音の再会
「ここだよね、千春ちゃんの家」
「………………本当だ、当たりだよ!すごいっ」
建て替え中の小さな平屋が、目の前にある。
かつては川が家脇を流れ、裏手には四季折々の野菜が彩る小さな畑もあったのだが………今はただ、その平屋だけしかなかった。
「でも、どうして場所がわかったの?」
「実はね………」
千春ちゃんに理由を話そうとすれば、ガラリ!っと勢いよく木戸が開いて、女性が出てきた。
「おかえり千春!暗くなるから迎えに………」
「久しぶり、雪子さ…母さん」
私達に視線が釘付けの女性ーー雪子さんは、よく状況が飲み込めない顔からやがて嬉しそうな顔になって、迎えてくれた。
「おかえりっ!千春、実穂!」
種明かしをするとーー私自身も驚いたのだが千春ちゃんが今暮らしている家族は、私の家族と同じという、かなり稀な事だった。
流魂街広しといえど、なかなか珍しいもの。
雪子さんは私を含めた家族を育ててくれたし、もっと言えば、此方に来たばかりの行き倒れた私を拾ってくれた人。