第8章 鈴音の再会
西流魂街 第三区 雀柳(じゃくりゅう)。
私が現世で死した後、護廷隊に入隊するまで暮らした場所。
閑静な土地で、川沿いを進み一里南西に足を伸ばせば、鯉伏山がある。
現世の駐在任務について以来の帰省だ。
歩いていると、建設中の家屋が建ち並び忙しなく作業する住人の姿がたくさんある。
瀞霊廷の復興も幾分か進みつつあるが、とても流魂街のそれには遠く及ばないようだ。
結界の意味もある遮魂膜があったからこその被害軽減ではあったが、先の争乱で失われたものは数知れない。
命も、人々の営みも、消えかかった。
苦い思いが心を燻り出したけれど、ぐっと耐えた。
道を、かつての賑わいがあった通りから逸れて、林の中を進む。
拓けた場所にでて、手近にあった花を摘むとそれを木の根本にある石の列に供えた。
そこは、共に暮らした家族が眠る場所。
「ただいま………みんな。」