• テキストサイズ

BLEACH 叶わない願いをそれでも願う

第8章 鈴音の再会



山田三席の尽力で意識と怪我の無い体を取り戻した私は、感謝をしつつ二番隊舎を後にした。



修行のお礼を砕蜂隊長に伝えれば、想像した通りにぶっきらぼうな顔で、いらんと突っぱねられてしまったが、去り際にくしゃりと頭を撫でてくれた手は………優しくて嬉しかった。





今は、山田三席と四番隊舎への道を歩いている。





「本当にもう体は大丈夫なんですか?」

「だって、どこも痛くないですよ!
本当にありがとうございます。急なことで御手を煩わせてしまいました」


「いえ!怪我の治療は大事な仕事ですから、気にしないでくださいっ。

さっき飛んで来た地獄蝶、穿界門の刻限を伝えてましたね。
現世に戻られるんですか?」



「はい、もともとその予定で此方に来ていました。

まだ時間があるので、少し向かいたい場所に行こうかと考えています。」



「ルキアさんや一護さん達はお元気ですか?」


「変わらず元気に…って黒崎さん達と面識があるんですね」



「はい!話せば長いですけど………よく知ってますよ。
そうですかっ!お元気ならよかった。

石津さんも病み上がりですから、気をつけてくださいね」



「……善処します」




分かれの挨拶で、彼の言葉を苦笑いしながら私は歩いた。


もちろん無理はしないつもりだが、今の自分に必要なものを得るためにソウルソサエティへ来たのだ。



それを為し得た今、山田三席の言葉を守りたい反面、いつかは破ってしまうのがわかるから………申し訳ない気持ちもある。




ざりっと舗装中の道を踏みしめた草履の音が聞こえて、足を止める。




此方でゆっくりできる時間も、そう長くはない。






久しぶりに………行こう。



見上げれば、太陽が中天にさして世界を暖かく照らしていた。

/ 430ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp