第7章 その日 口火を切る
話出せば、言葉はするすると口から出ていく。
私の苦い思いをのせて。
「たまになんですけど。
任務が終わってこの町を離れれば、皆さんとの絆を失くしてしまうんじゃないかって不安………と言うか、怖いなって思う時があって。
こんな事を考えるのって、変ですよね………」
いつからか、私の中に生まれた思い。
“死神である自分"とは、違う自分を知れた時間。
みなさんとの時間や絆を、失いたくないと願う思い。
自分に与えられた任務を果たしたい意志はもちろんある。けれど、どうしたらいいかわからなくなっていた。
だからーー答えを得る為の助言がほしい。
「何も変なことなんてないよ、石津さん。
私も同じだから………」
脅されていたとはいえ、ひとりで虚圏に消えた私を追って始まった争乱の渦。
石津さんはその事は知らないから、戸惑った声が聞こえた。
「え?あの、どうゆう…?」
「前に、私のした選択がみんなを危険な目に合わせてしまったことがあったの」
「違うぞ井上!それはっ………」
朽木さんの否定する声を遮って、大丈夫だからと笑う。
ちゃんと話したいんだ。
「ううん、何も違わないよ。
私………みんなを護りたくて、自分ひとりで行く事を決めたの。でも結果として………たくさん心も傷つけて、怪我もいっぱいさせちゃった。
助けに来てくれた時、嬉しさもあったけど………そんな事をしてから、もうみんなの元には戻れないかもしれないって思ってた。
許されないだろうって。
でも黒崎くんがね、言ってくれたんだ」
『謝んねぇでくれよ、井上。
訳があってした事だし、井上だって誰にも言えずに苦しんでたのは事実だろ?
ああするしかなかったんだって思ってる。
実際………大変じゃなかったって言えば嘘になるけどよ、あの時にした事で今の俺がいて、護って戦えるだけチカラがついて強くもなれた。
井上の言葉があったから、戦えたとこもある。 勝ってみんなで空座町に帰るってな。
だからいいんだ、本当に。
無事に俺らのもとに戻ってきてくれて、アリガトな………井上』