第7章 その日 口火を切る
「あの、さっきの話なんですが…………石田さんの気持ちは、少しでも晴れましたか?」
おずおずと、気遣わしげな声を石津さんはかけてきた。
くるりと振り返ってみた顔は、少し不安の色が滲むもの。
………………なるほど。
難しい顔の理由は、彼女が僕のことを気にしてくれていたからか。
ちゃんと話したかったけれど、傘二本分の距離はすこしだけ遠い。
道の邪魔にならない様に端に寄って、雨宿りしながら改めて、石津さんを見つめる。
変わらず不安な色が表情から見受けられたが、安心してほしくて、僕は言葉を紡ぐ。
気恥ずかしさは……なるべく出さないように。
「石津さんは、心にふれて気持ちをわかろうとしてくれた………泣いてまでくれた。
それだけで、充分過ぎるくらいだよ」
「本当………ですか?」
じっと、真っ直ぐに見つめてくる瞳。
ふっと笑って、大丈夫だと伝えたくて口を開いた。
「かけてくれた言葉で、気付けた自分の思いもあったんだ。
だから………………ありがとう、本当に。」
「それなら、よかったです」
言葉と共に、ようやく見れた石津さんの笑顔で、僕もホッとした。