第7章 その日 口火を切る
「…ん、石津さんっ!」
「はい⁈」
「いや、足元危ないから。
………どうかしたの?」
「あ………」
視線の先ーー、歩道の段差と大きな水溜りがすぐそこにあった。
そのまま進んでいたら怪我をしたかもしれないし、挙句濡れて大変だったかもしれない。
石田さんの声を聞いて、心配そうに此方を見る視線とぶつかった。
「すいませんっ、考えごとをしてしまって………」
「確かにそうだね。難しそうな顔してた」
石田さんの戯けたようなその言葉を聞いて、私は反対に、口が重くなってしまった。
聞いてもいいか 失礼にならないか
ふたつの思いに、私は揺れた。
悩んでみたけど、あなたの心を知ることを、私は結局選ぶんだ。