第7章 その日 口火を切る
ピピピピピ!
着信を知らせる音が、聞こえる。
ハッとして、体が動いたのは私も石田さんも同じだった。
勢いよく離れた私達だったけど、彼の顔が………私はどうしても見れなくて。
「すいません、出ますね!」
急いで言葉にして、くるりと背を向けた私は部屋を出る。
「もしもしっ!朽木副隊長‼︎」
「………いきなり大声を出すな、たわけ!驚くではないか‼︎」
飛び付くように電話に出れば、数倍大きな声で敬愛する上司からの怒声が返る。
「あ、いやっすいません!えと…如何なさったのですか?」
「いかがも何も、お前の帰りが遅いから心配しておったのだ!雨脚も強いし、何も連絡しないままなのだぞ!」
「すいません‼︎
ご心配をおかけしてしまいました………」
「………もう良い。
石津がこうして話せるなら大丈夫だとわかったからな。安心した。
ただ…傘は持たぬままだろう、どうする?」
「どこかで買って帰ります。用事も済みましたか………ら?」
とんとん。
肩を叩かれて背後を向けば、そこには石田さんがいて………手を出していた。
不思議に思った私は、彼と差し出された手を交互に見てしまう。
これは、渡してほしい………って事?
どうしてだろうと思いつつ、いいからと目線で伝える石田さんに伝令神機を渡した。
「もしもし朽木さん、いきなりすまない………石津さんに代わってもらったんだ。
彼女は僕が商店まで送るから、心配しなくて大丈夫さ。
詳しいことは、またその時に。
それじゃあ………」
ピッと音がして、返される伝令神機だが
私はつい、石田さんの行動に目を丸くしてしまう。
すると、眼鏡を直しながら悪びれる笑みとぶつかる。
「もともとこうするつもりだったんだけど、気を悪くさせてしまったかな…」
「…………………いえ!ありがとう、ございます」
だってそんな、恥ずかしそうな顔されるなんて思わないから。
申し訳ない気持ちがあったけど、傘を持っていないのは事実で。
ドキリと鳴った胸の理由を考えるまもなく、彼の言葉に、私は頭を下げた。