第7章 その日 口火を切る
石津さんの気配を感じて、記憶の海から意識をそちらにむける。
涙を流すまいと堪えながら、彼女なりに想いを話してくれている。
それにくらべて、今の自分は何も言えず………八つ当たりみたいに大きな声をだしてしまった。
彼女の気持ちも考えずに。
きっと、酷く滑稽に見えてるんだろう。
自分の気持ちに、まだ答えを見いだせていないからか。
それでも、石津さんが紡ぐ言葉を聴きたいと思った。
心に寄り添ってくれようと、わかろうとしてくれているのを………感じるからか。
「………石田さん。死神だって、悲しい時は涙を流します。
そこに、相手を想うーー心があるからです。
石田さんも、誰かを思って、涙する事を我慢出来てしまう心があります。それは、ある意味………貴方の強さや優しさなんだと思います。
だからほんの少しだけ、その優しさや強さを自分の悲しい心を癒す為に使っても………いいんじゃないでしょうかっ………」
「人を失った悲しみは、同じ………なんです。
我慢なんて、しなくていいんですっ。
辛い事も苦しい事もっ 隠さなくて、いいんですよっ………!」
彼女の声がーー強く頭に、耳に響いた。
ざわりと、胸が震えた。
どうしようもなくなってーー手を、のばした。