第7章 その日 口火を切る
「彼女のお父さんは、石田さんに言ってくださったはずです。
『自分を責めないでほしい』と………。
それはきっと、貴方には辛くても…悲しくても、前をっ………向いてほしかったんだと思います」
思い出される。
くしゃりと歪んだ、涙を耐えながらのお父さんの笑顔。
泣いては、いけないと思った。
彼女を僕以上に大事に思う人は、たくさんいる。
僕がしてしまったことが、その人達から彼女を突然奪ってしまったんだ。
泣いては、いけないと思った。
ただ………心配かけたくなくて。
僕が笑っていれば、大丈夫だよって言葉にすれば、安心してもらえる。
母さんや師匠、そんなこと考えていないであろう………父さんにすらも。
僕が 我慢すれば それでいいんだ
そんな風に心に決めた。
母さんが、笑っているのに………泣いているみたいに見えたこと。
どうしてか、理由を聞いても教えてはくれなくて。
ただ、ギュッと抱きしめてくれるだけだった。
それが………僕は苦手だったこと。
照れもあったけど、それだけじゃない。
"何か"が、僕の中にあったこと。