第7章 その日 口火を切る
『雨竜くんが良ければ、娘に会いにきてあげてほしい』
その言葉と共に、一枚のメモをぼくは受け取った。
そして、その日はそれで終わり。
「それから彼女の手紙を読んで、二つ思ったことがある。
何があっても助けに行く約束を果たせなかったこと………誰に言われても自分を許すことは出来ないこと」
「どうしてそこまで………」
沈黙の中にいた石津さんは、ぽつりと呟いた。
あまりにも弱々しい声が耳に届いたから、一瞬話すのを躊躇いたくなった。
けれど、話すと決めたのだ。
真っ直ぐ石津さんを見つめて、言葉を紡いだ。
「あの日に会う約束をしたのが、僕だったから。
彼女の誕生日だった日。
今でもずっと、後悔が胸にある。
僕が言わなければ………こんな事にはならなかったんじゃないかってね。
その事を謝りたくて、しばらくしてから今まで、彼女のもとに足を運んでる」
彼女の存在は、大事な友人であるのと同時に償うべき人。
そう。
それは自分の中で、消えない想い。