第7章 その日 口火を切る
一年が過ぎた頃、人が虚に襲われる事件があった。
僕も何か出来ないかって師匠の所にむかう為に走っていたけど、そこにーー石津さんがいた。
虚に狙われて、恐怖で泣き出しそうな顔の彼女が。
『手を掴んで‼︎ 逃げるんだ‼︎』
『………えっ………』
『僕がいるからっ………大丈夫!』
『…………っ………‼︎』
パシッ‼︎
掴まれた手を強く握って、僕等は走り出した。
師匠が僕等を見つけてくれるまで、そのままずっと走った。
そんなにしないで直ぐに駆けつけてくれたから、安心したのを覚えている。
それから師匠の所で落ち着くまで、ゆっくりしたんだ。
「………大変でしたね。お怪我はなかったんですか?」
「大丈夫だったよ。逃げながら必死に攻撃もしたけど、あの時はまだ………今よりももっとチカラが弱かったからね。
話を聞いた彼女は、驚いていたけど僕達の事を知っても、怖がったりしないでくれた。
そればかりか、お茶飲み友達になってもらったって、ニコニコしながら師匠は言ってたかな」
「………………なるほど………」
そうして彼女は僕と一緒に、よく師匠の所に行くようになって、必然的に話すようにもなっていった。